医療保険の義務化

医療保険の義務化で無保険者はいなくなるか

医療保険改革については、第7章「ヘルスケア改革」で論じられる。 09年に、オバマ政権が最も力を入れた改革の1つがヘルスケア改革だった。国民皆保険がオバマ政権の目指すものだったが、結局後退に後退を重ね、公的保険導は果たせず、民間の保険会社に任せることとなり、米国の貧困な医療実態を告発した映画「シッコ」の監督、マイケル・ムーア氏から「これは改革ではない。おふざけだ」と言われてしまった。オバマ大統領にしてみれば、法案が棚ざらしになれば指導力を疑われるので、ある程度妥協してでも通そうと外遊をやめ、議員への電話作戦で、非常に僅差だったが可決させた。

 

そうした経過があるので、『報告』も公的保険は論ぜずに、上下両院の改革案を骨子にして展開している。まず、医療保険改革の必要性について述べ、無保険者の急増とそれに伴う医療費の高騰が、労働者の報酬を減額させると指摘する。米国では、雇用主が保険に入って、従業員が保険の対象になるので、医療費が高まってくると、雇用主は従業員の給与を減らすことでカバーしようとする。さらに医療費が高くなれば、雇用主が保険に入らなくなり、無保険者がさらに増えるという悪循環に陥るという。

 

また、メディケア、メディケイドについても連邦財政を圧迫し、解決すべき課題の主要項目として挙げている。この章では、保険の世界では必ず起こる逆選択とモラルハザードの概念を使って、医療費が増加するメカニズムを説明している。保険に加入するのは健康な人よりも病気がちな人だから、保険による医療支出が増加し、保険会社は保険料を上げる。するとますます保険に加入する人が減少する。これが逆選択の結果だ。また、加入者は保険で支払えるからモラルハザードが働いて、受診にブレーキがかかりにくく、医療費は増加する。そうすると、保険会社も、病気がちな既往症を持っている人は保険対象者から外してしまう。加入者が減るので保険料はますます高くなり、それがさらに加入者を減少させる。それにもう1つ、医療にはサマリア人のジレンマが起こると言う。つまり、医療代金を支払えなくても治療は受けられるのだ。こうして、無保険者は、クリントン政権時代にはまだ2000万人台だったが、リセッションもあり、いまや4700万人を超えている。

 

今回の改革では、医療保険が義務化されたが、公的保険が設立されたわけではないので、民間の医療保険に国民をどうやって加入させるかという問題になる。政府はさまざまな援助や税優遇を行って、無保険者を減らそうという作戦だ。既往症の無保険者の加入を拒絶する保険会社には罰則が適用されることになった。一方、医療保険に入らない国民にも罰則規定ができた。こうした2010年医療改革法によって、保険適用範囲が拡大され、3000万人以上の人が保険を確保するだろうとしている。たくさんの国民が保険に入れば医療コストの増加に抑制がかかって、行政機関にも恩恵がもたらされるはずだと言っているが、うまくいくかははまだわからない。

年始から為替相場で再燃した欧州債務危機の一角にいるポルトガルの国債入札が、今晩7時半に予定されている。昨日は日本の野田財務相が欧州危機の救済に乗り出す考えを示し、また、欧州中央銀行(ECB)がポルトガル債を継続して購入したのではとの観測も入り、ユーロドルは堅調に推移している。日本が表明したのは、欧州金融安定基金(EFSF)が発行する債券の購入で、外貨準備を使用すると表明しているもののユーロには好材料と捉えられた。本日の入札ではユーロ圏内各国の意地もあるだろうし、何とかして順調に進みそうだ。明日には同じ債務国であるスペインやイタリアの国債入札を控えるが、一旦はユーロ買いの動きになりそうだ。その場合、今月6日に下落し始めたレベル、1.31ちょうど近辺が目先ターゲットとなる。

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