世界経済における危機と回復

世界経済における危機と回復

国内政策を論じた後、『報告』は国際的側面に話を移していく。第3章「世界経済における危機と回復」がそれだ。まず最初にドルに言及する。米国での危機からドル崩壊ではなくて、逆にドルの希少価値が高まってドル高が引き起こされた。短期でドルを借りて、長期のドル資産を購入するというキャリートレードが浸透していて、そこへ資産市場が崩壊した。そうすると短期資金の返済に迫られ、ドルが必要になった。これが一時的にドルの需要を急増させたという、その連鎖を説明している。

 

G20首脳会議
こうした金融の混乱が、世界貿易に絶大な影響を与え、世界的な実体経済の落ち込みを招いたのが今回の非常に大きな特徴だと指摘している。その要因を3つ挙げている。第1に、製造工程の垂直的統合、いわゆるグローバル・サプライチェーンの影響だ。製造工程に国際的連関があるから一国での落ち込みが、国際的に拡大するというメカニズムだ。第2に、グローバル金融市場の混乱によって、貿易金融がコスト高となり、貿易を直撃したという。第3に、投資財と耐久消費財販売の落ち込みだ。金融取引の崩壊で全世界の産出が減少。とりわけ日本が特に深刻

 

だったと「報告」は言っている。しかし、世界の対応は早く、かつての大恐慌時の国際的対応とは違っていた。まずは、金融政策がいち早くとられた。金利の引き下げ、中央銀行による多額の資産購入による流動性供給があった。ドル不足に備えて対応したもので、危機の回避に役立ったと言えるだろう。ほとんどすべての国で、恐慌回避の緊急財政金融政策が発動され、また失業手当などさまざまな景気落ち込み期の自動安定装置が働きだした。そして、大恐慌期と決定的に異なったのは、各国が保護貿易政策をとらなかったことで、「自由貿易の堅持」がG20の合言葉となったことはよく知られている。保護主義に走った30年代とは全く違った。

 

こうした対応で、大リセッションによる景気のスパイラル的下落は、一応防止できたと言えるだろう。この点も長期の大不況となった30年代とは大違いだった。 09年第2四半期の世界GDP成長率は2 ・ 4%にまで回復した。貿易の立ち直りも早かったし、金融市場も早々に安定性を増した。これには財政政策の役割が大きかったというのが、オバマ政権政策担当者の見方だ。財政政策のインパクトは大きく、景気刺激政策の大胆な国、韓国、日本の立ち直りが早いのもそのせいだったと『報告』は言っている。しかし、問題はやはり失業だ。失業率の高止まりが深刻な事態となって世界を覆っている。

年始から為替相場で再燃した欧州債務危機の一角にいるポルトガルの国債入札が、今晩7時半に予定されている。昨日は日本の野田財務相が欧州危機の救済に乗り出す考えを示し、また、欧州中央銀行(ECB)がポルトガル債を継続して購入したのではとの観測も入り、ユーロドルは堅調に推移している。日本が表明したのは、欧州金融安定基金(EFSF)が発行する債券の購入で、外貨準備を使用すると表明しているもののユーロには好材料と捉えられた。本日の入札ではユーロ圏内各国の意地もあるだろうし、何とかして順調に進みそうだ。明日には同じ債務国であるスペインやイタリアの国債入札を控えるが、一旦はユーロ買いの動きになりそうだ。その場合、今月6日に下落し始めたレベル、1.31ちょうど近辺が目先ターゲットとなる。

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